
初代レヴォーグに搭載された、「FB16」直噴ターボエンジン。その魅力に迫ってみる。
【---今回の整備内容---】
| 車種 | レヴォーグ 1.6GT-S EyeSight(VM4) |
|---|---|
| 年式、モデル | 2015年(H27)、アプライドB |
| エンジン型式 | FB16DIT |
| 走行時期 | 2025年8月 |
| 総走行距離 | 218.3km |
| 満足度 | ★★★★☆ |
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■目次
●唯一のエンジン
●目指した性能
●実際の走り
●燃費
●襷
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唯一のエンジン
初代レヴォーグ(VMG/VM4)では、2種類のエンジンがラインナップされた。
まずは、ハイパフォーマンスモデルに搭載された、「FA20」である。5代目レガシィ以降のハイパフォーマンスモデルに搭載され、フォレスターやWRX S4にも搭載されたエンジンである。この2L直噴ターボエンジンは300馬力、40キロのトルクを発生するスバルらしいスペックを誇る。
そしてもう一つ、それが今回紹介する「FB16DIT」と呼ばれるエンジン。こちらも直噴ターボエンジンであることに変わりないものの、初代レヴォーグのみに搭載された、唯一のエンジンとなる。当ブログではこのエンジンについて紹介する。
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目指した性能
5代目レガシィツーリングワゴン(BRG/BRM)の後期仕様では、先ほど紹介した2Lターボの「FA20」、2.5L自然吸気の「FB25」がラインナップされており、それぞれ300馬力、173馬力を出力するエンジンである。
レヴォーグに搭載されたFB16は...170馬力を発生。
そう、このダウンサイジングターボは環境性能に対応させながら、2.5L級のエンジンと同等の性能を発揮できるように開発されたのである。
| FB16DIT | FB25 | |
|---|---|---|
| 馬力 | 170ps (4800-5600rpm) |
173ps (5600rpm) |
| トルク | 25.5kgm (1800-4800rpm) |
24.0kgm (4100rpm) |
最大出力、トルク共にピーク値はほとんど同じであるが、FB16では広い領域にわたって最大トルクを発揮する。
その結果が燃費にも現れている。
| レヴォーグ 1.6GT-Sアイサイト | レガシィツーリングワゴン アイサイトSパッケージ |
|
|---|---|---|
| 車重 | 1,550kg | 1,540kg |
| 燃費 (JC08モード) |
16.0km/L | 12.4km/L |
レガシィとレヴォーグでは車体サイズが大きく異なるため、同車重となるグレード同士で比較。
レヴォーグは車重が10kg増加しているのにも関わらず、燃費が向上していることがわかる。
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実際の走り
前章まではスペック的なことをインターネットや雑誌、カタログ等から収集できる内容である。
大切なのは「このクルマで走りたい」と思わせるだけの性能があるのか、だ。

とりあえずガソリンを満タンにして走り出してみよう。

高速道路でしばらく転がしてみた。
ボクサーサウンドを奏でながら滑らかに加速してゆく。
往年のEJ20ターボのような加速感は失われているものの、リニアトロニックと組み合わされたダウンサイジングターボは快適そのもの。

正直、クルコンなんて無くてもどこまでも走っていけるような懐の広いエンジンだ。巡航であれば2000回転を下回る領域で付近でどこまでも進んでいくような感覚である。
トルクそのものは決してあるとは言えないが、合流や追越も快適にこなす。このエンジンがレヴォーグのみに搭載されたのは惜しいように思える。

次に郊外での走行を。
可もなく不可もなく。クルマを前に進めてくれる。
この「可もなく不可もなく」というのがポイントで、世の中には加速や減速に難がある車が存在する。
だから「何の不満も抱かない」プレーンな味付けが心に染みるのである。
もちろん、場面によってはやや苦しさを感じることもあるが、ささっと加速し速度が乗ってしまえば郊外を快適に巡航することが可能である。そこからは快適なのだ。GTの名に相応しいスペックはしっかりと持ち合わせているのである。

最後にワインディング。
僕が今操っているレヴォーグは1.6GT-S、ビルシュタインサスペンションやアルミ鍛造ロアアームを搭載し、走りに一層磨きがかかっている。
余談ではあるが、よくレヴォーグと比較される4代目レガシィ(BP5/BL5)はGT系グレードでは全車アルミアーム、ビルシュタインサスペンション搭載されていた。レヴォーグはね...GTの名乗るのであれば...
話を戻して、170馬力、25.5キロのトルクで1,500kgオーバーの車体を押し出すわけであるが、やや力不足なフィーリングであるものの、レスポンスや広い領域で最大トルクを発生するエンジンのおかげかストレスを感じることはなかった。
もちろん、EJ20であればどこまでも突き進んでいくだろうが、このクルマに求められたキャラクターとは異なるだろう。やはり「丁度いい塩梅」に仕上げられているのである。
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燃費


今回のテストドライブでは、218.3km走行、車載の燃費計では15.4km/Lだった。
テスト車両はJC08で16.0km/Lであるから、ほぼ同等といった具合ではなかろうか。10年落ち、7万キロ手前の中古車でほぼ新車と変わらない燃費を出せているのは優秀だ。
似たような走りをEJ系ターボでした場合、おそらく10.0-12.0km/L程度に落ち着くかと思う。やはりドライバビリティと燃費を追求した、FB型エンジンの良さを感じることができた。
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襷
FB16はかなりの開発費と期間を注いだエンジンであることは間違いないであろうが、結局VM4レヴォーグ以外の車両に搭載されることはなかった。というのも2010年代初めはリーマンショックの影響など世界的な混乱もあり、ダウンサイジングの流れが大きかったことや燃費を重視せざるを得ない時代背景があった。当時20年も主力であったEJから速やかに置き換える必要もあった。国内では5代目レガシィが思うように売れず、開発陣の焦りもあっただろう。
たった1代で終わった。6年で終わった。短命なエンジンなのである。
GTを名乗るレヴォーグのみに搭載された、このFB16。ダウンサイジング化され、2.5L級エンジンを置き換えるはずだったこのエンジンが、結局2.5Lの自然吸気エンジンや排気量を拡大したCB18エンジンに置き換えられたのは残酷ではなかろうか。
後継であるCB18はより実用性を重視した開発がなされた。その結果、FB16はレヴォーグのみに搭載されたのに対し、CB18はレヴォーグ/レイバック、アウトバック、フォレスターと3車種に搭載され、177馬力、30キロのトルクを生み出すエンジンは他の2.5Lエンジンを名実ともに追い抜いた。JC08燃費ではVM4よりやや優れた16.6km/Lを叩き出す。
FB16で得られた知見は無駄ではなかったのだ。EJからFBへ。FBからCBへ。スバルGTの伝統を紡いできた。形は違えど、このコンセプトはこれからも続いてゆく。スバルがワゴンを作り続ける限り──。
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